7月末に「ラ王追湯式」を実施して生産終了をした日清のラ王。
9/6から乾麺タイプで改良新発売したものの、
新CMで大コケしたようですね。
実は昨夜、TBSの「池上彰の学べるニュース」を観ていた際
AC(公共広告機構)のCMがやたらとO.Aされていました。
池上さんと言えば、今や各報道系番組に引っ張りだこで
高視聴率を持つジャーナリスト。
しかも番組放送枠は20時というプライムタイム(ゴールデンタイム)。
ACのCMが流れるケースは大きくは4つ。
1-3の何れかかなと思いながら見ておりました。
そこへ日清による「弊社商品のCM撮影に関するお詫び」のリリース。
今日、ビデオリサーチのDBで
4月~直近までのこの番組枠のCM出稿実績を確認したところ、
スポット枠ではあるものの日清が定期的に出稿している事が確認できました。
というわけで、
昨日見たACのCMに差し替わったのはラ王の新CMだったわけですね。
この改良新発売、マーケティング用語ではリステージングなどと呼ばれます。
経験上、リステージに際しては半年から1年。
長い場合は2年くらいかけて、細部にわたる詳細な計画が立てられます。
このラ王のケースも、パッケージの形状・デザイン。
製法、希望小売価格等様々な部分での変更がありますので、
生産、トレード、マーケティング、協力会社と多くの人を巻き込んで
多大な時間と労力が注がれたと予想されます。
ニュースリリースの
「今回、インスタントラーメン市場に再び旋風を巻き起こすべく、弊社の技術イノベーションとマーケティングの総力を注ぎ込み、「日清ラ王」の復活を図ります。」
この1文からもかなりの意気込みが感じられますしね。
さて、このラ王のリステージ。
現段階ではいきなり泥がついて躓いたように見えます。
ここからはその問題点と、おそらく緊急で実行されると思われる
対策を書いてみようと思います。
まず、問題点は大きくは2つ。
主要紙の全面広告・雑誌広告・PRそしてTwitterを使い
20万ツイートを集めるというある意味で大成功のキャンペーンでした。
ただし、生産終了から改良新発売までの期間や
生産終了キャンペーン時の表現から「閉店商法」だと言う指摘がネット上で噴出。
事前に大きな話題を呼んだ(起こさせた)キャンペーンだけに、
消費者の関心も高く、ネガティブな反応も大きくなってしまったようです。
これは口コミマーケティング、
とくにTwitterのような爆発的に広がるマーケティング手法最大のリスクですね。
とはいえ、実際にこの問題は
期待感や改良新発売の目新しさといったポジティブな反応に比べ小さく、
おそらくおそまで関係者も問題視していないのではないかとも思います。
もしかしたら、想定の範疇だったのかもしれません。
しかし、2.の「CM撮影時のトラブルによるCM差し替え」は
本当に痛いのではないかと思います。
私自身、即席麺市場を担当した事はないので
他カテゴリー等での経験や慣例からの総合的な想定になりますが、
次に「対消費者」。
既に、一部では「閉店商法」と非難が挙がっていたところに
今回のCM差し替え騒動。
短期間でのたび重なる批判の拡散により、
明らかにブランドイメージを大きく損なったと思えます。
最後に「マーケティング予算」。
今回の騒動になったCMは槍ヶ岳で空撮。
あの場所に機材の搬入したり、空撮のコストを考えれば
おそらく5000万~1億ちかい制作費になっているんじゃないかと思います。
おそらくこのCMは今後O.Aされないと思いますので
この制作費をドブに捨てた事になるかもしれません。
また、リステージのキャンペーンですし
ニュースリリースの意気込みからもかなりのTVCM枠を用意していたと思います。
通常、ACのCMに差し替わった場合そのCM枠の費用は帰ってきません。
また、一度購入したCM枠を払い戻しする事もできません。
おそらく、ラ王に別のCM素材は現時点でないと考えると
今後は他の日清ブランドのCMにラ王用に買っていたCM枠を差し替え、
その費用は他ブランドが負担するか、ラ王が負担するにしても想定外の予算(出費)ですね。
また、ラ王自身も再度CMを作り直しTVを投下するか
TV以外の媒体でその埋め合わせをしなければならないでしょう。
このように貴重な予算が大幅に減る一方で、
期待していた売上が込めなくなり、余計に広告予算が縮小されるリスクも生じます。
今回のケース総合的に考えれば、
日清の損失は億を軽く超える多大なものです。
損害賠償という事になれば、請求先は代理店もしくはCM制作をしたプロダクション。
代理店はそれなりに体力があるでしょうが、
プロダクションになった場合、倒産しても支払い切れかもしれませんね・・・。
関係者のいまの心境を考えれると非常に心が痛みますが、
ここからのリカバリープランとその成否含め
非常に興味深い事例として注視していきたいと思います。
9/6から乾麺タイプで改良新発売したものの、
新CMで大コケしたようですね。
実は昨夜、TBSの「池上彰の学べるニュース」を観ていた際
AC(公共広告機構)のCMがやたらとO.Aされていました。
池上さんと言えば、今や各報道系番組に引っ張りだこで
高視聴率を持つジャーナリスト。
しかも番組放送枠は20時というプライムタイム(ゴールデンタイム)。
ACのCMが流れるケースは大きくは4つ。
- 企業の不祥事等でのCM自粛
- CMタレントの不祥事等でのCM自粛
- CM素材の表現に法的・協会的な不備があり差し止め
- CM枠が埋まっていない
1-3の何れかかなと思いながら見ておりました。
そこへ日清による「弊社商品のCM撮影に関するお詫び」のリリース。
今日、ビデオリサーチのDBで
4月~直近までのこの番組枠のCM出稿実績を確認したところ、
スポット枠ではあるものの日清が定期的に出稿している事が確認できました。
というわけで、
昨日見たACのCMに差し替わったのはラ王の新CMだったわけですね。
この改良新発売、マーケティング用語ではリステージングなどと呼ばれます。
経験上、リステージに際しては半年から1年。
長い場合は2年くらいかけて、細部にわたる詳細な計画が立てられます。
このラ王のケースも、パッケージの形状・デザイン。
製法、希望小売価格等様々な部分での変更がありますので、
生産、トレード、マーケティング、協力会社と多くの人を巻き込んで
多大な時間と労力が注がれたと予想されます。
ニュースリリースの
「今回、インスタントラーメン市場に再び旋風を巻き起こすべく、弊社の技術イノベーションとマーケティングの総力を注ぎ込み、「日清ラ王」の復活を図ります。」
この1文からもかなりの意気込みが感じられますしね。
さて、このラ王のリステージ。
現段階ではいきなり泥がついて躓いたように見えます。
ここからはその問題点と、おそらく緊急で実行されると思われる
対策を書いてみようと思います。
まず、問題点は大きくは2つ。
- 閉店商法まがいと言われる煽り
- CM撮影時のトラブルによるCM差し替え
主要紙の全面広告・雑誌広告・PRそしてTwitterを使い
20万ツイートを集めるというある意味で大成功のキャンペーンでした。
ただし、生産終了から改良新発売までの期間や
生産終了キャンペーン時の表現から「閉店商法」だと言う指摘がネット上で噴出。
事前に大きな話題を呼んだ(起こさせた)キャンペーンだけに、
消費者の関心も高く、ネガティブな反応も大きくなってしまったようです。
これは口コミマーケティング、
とくにTwitterのような爆発的に広がるマーケティング手法最大のリスクですね。
とはいえ、実際にこの問題は
期待感や改良新発売の目新しさといったポジティブな反応に比べ小さく、
おそらくおそまで関係者も問題視していないのではないかとも思います。
もしかしたら、想定の範疇だったのかもしれません。
しかし、2.の「CM撮影時のトラブルによるCM差し替え」は
本当に痛いのではないかと思います。
私自身、即席麺市場を担当した事はないので
他カテゴリー等での経験や慣例からの総合的な想定になりますが、
- 対販売チャネル
- 対消費者
- マーケティング予算
この3つの点で大きな損失があったと考えられます。
まず、「対販売チャネル」に関して。
即席麺市場の主要チャネルはCVS(コンビニ)とスパーだと思います。
特にCVSの場合、狭い売り場に膨大な商品がおかれている為
商品陳列の棚を確保するのも一苦労です。
往々にして、メーカーは新商品発売やキャンペーンをするにあたり、チャネルに対し
「○○GRP(TVCMの量の単位)を投下するキャンペーンを張るので棚を確保させてください」
なんて交渉を行います。
チャネルは「たくさん広告するんなら売れそうだな」と期待して、売り場を割くわけです。
一方で、売り場がいちど確保できたところで
その後の売れ行きが悪ければ、即棚を失うリスクもあります。
例えば、飲料などは発売後3週の売れ行きが悪ければ即CVSから消えたりも。
ラ王の場合、
- チャネル(販売店)は大量の広告を期待して売り場を用意した。
- でも予定していた広告が出来ない。
- 販売店の売り上げも期待したように上がらない。
次に「対消費者」。
既に、一部では「閉店商法」と非難が挙がっていたところに
今回のCM差し替え騒動。
短期間でのたび重なる批判の拡散により、
明らかにブランドイメージを大きく損なったと思えます。
最後に「マーケティング予算」。
今回の騒動になったCMは槍ヶ岳で空撮。
あの場所に機材の搬入したり、空撮のコストを考えれば
おそらく5000万~1億ちかい制作費になっているんじゃないかと思います。
おそらくこのCMは今後O.Aされないと思いますので
この制作費をドブに捨てた事になるかもしれません。
また、リステージのキャンペーンですし
ニュースリリースの意気込みからもかなりのTVCM枠を用意していたと思います。
通常、ACのCMに差し替わった場合そのCM枠の費用は帰ってきません。
また、一度購入したCM枠を払い戻しする事もできません。
おそらく、ラ王に別のCM素材は現時点でないと考えると
今後は他の日清ブランドのCMにラ王用に買っていたCM枠を差し替え、
その費用は他ブランドが負担するか、ラ王が負担するにしても想定外の予算(出費)ですね。
また、ラ王自身も再度CMを作り直しTVを投下するか
TV以外の媒体でその埋め合わせをしなければならないでしょう。
このように貴重な予算が大幅に減る一方で、
期待していた売上が込めなくなり、余計に広告予算が縮小されるリスクも生じます。
今回のケース総合的に考えれば、
日清の損失は億を軽く超える多大なものです。
損害賠償という事になれば、請求先は代理店もしくはCM制作をしたプロダクション。
代理店はそれなりに体力があるでしょうが、
プロダクションになった場合、倒産しても支払い切れかもしれませんね・・・。
関係者のいまの心境を考えれると非常に心が痛みますが、
ここからのリカバリープランとその成否含め
非常に興味深い事例として注視していきたいと思います。
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